2021年
日時;12月12日(日)午後1時30分~午後4時30分
場所:亀戸カメリアプラザ5階第2研修室
発表:橋本茂雄
参加:27名
いつものように専門家の参考文献を紹介し、発表内容に品質保証を得ることに努めた。歴史を学ぶのは単に昔を知るためではない。今を見極めるヒントを得るためだと思う。そこで、発表の基調を、「江戸の感染症対策は、基本的には現代と共通している」におき、現代に通じる知恵と行政を探ることにした。
江戸市民は20~30年に一回の疫病に苦しんだ。将軍:吉宗は医療・薬品などの医療対策を始めた。後年、老中:松平定信は「七分積金」をつくり、病気で働けず困窮する場合の生活救済等スピードをもって組織的に行った。この制度は江戸町民2割程度の地主が納める町会費の一部を財源とする持続可能なシステムであり、江戸の都市崩壊(打ち壊しなど)を未然に防ぎつつ明治3年まで続く。救済手段に「一律か」、「現金か、米か」、「隔離か」などの論議があったことは現代と共通している。幕末~明治初期、種痘の始まりや衛生日本の誕生の背景を振り返りつつ、感染症対策の江戸期と明治、現代との共通点や相違点を挙げ、そこに現代の日本流感染対策の源流があると示唆した。
話の節々には、現代のコロナ対策の最近の論調や政治の動きも反映させた。折りしも、新たなオミクロン株の感染拡大が懸念される中、人流抑制の強化策(法的拘束力やペナルティ)の検討が本格化しているという。