サークル・史の会

第678回学習会

「ラテンアメリカ現代史(その1)」

日時 :6月12日(日)午後1時30分~4時30分

場所 :亀戸カメリアプラザ6階第3研修室

発表 :広田 恭一

参加 :19名

 今回はラテンアメリカの現代の歩みについて20世紀初頭から1968年のメキシコ五輪までをお話しました。ラテンアメリカも日本を含む世界の他地域と同様、第一次世界大戦や世界大恐慌の荒波に揉まれます。その間ドイツのナチズムやイタリアのファシズムと相通ずるポピュリスト政権が誕生し、これらの一部は第二次世界大戦以降も存続します。そのひとつがアルゼンチンのファン・ペロン政権でモデル等出身の妻エヴァ・ペロン(エビータ)の美貌と活躍により一定の成果を上げます。しかし、エビータの早過ぎる死(1952年、33歳で子宮癌で死去)により国民の支持は急落、ペロンはスペインに亡命を余儀なくされます(1955年)。この影響は日本にも奇妙な形で及び、ペロンに寵愛されていたスポーツヒーロー(ボクシングの世界フライ級チャンピオン)パスカル・ペレスも母国に居づらくなり、昭和34年(1959年)いっぱいを日本で過ごすこととなります。ペレスと矢尾板貞雄の試合は前哨戦で矢尾板が勝ったこともあり「日本人の世界チャンピオン誕生か」と大変な人気になり男湯がカラになるほどでした(女湯は「君の名は」でカラになった)。ペレスは渾身の力を振り絞って矢尾板をノックアウトしますが、これがペレス最後の輝きでした(翌年バンコクでポーン・キングピッチに負けタイトル喪失)。

 このような歴史の話の他、ノーベル文学賞作家のガルシア・マルケス(コロンビア)の「予告された殺人の記録」を紹介し、皆様のご意見をうかがいました。19名の参加者の方ありがとうございました。