サークル・史の会

第689回学習会

司馬遼太郎を読む

司馬遼太郎を読む

日 時:5月21日(日)午後1時30分~4時30分

場 所:亀戸カメリアプラザ6階第3研修室

発 表:塩崎昇・広田恭一

参 加:18名

アームストロング砲と歳月

 司馬遼太郎の2作、どれも佐賀藩が舞台です。幕末、彰義隊を壊滅させたアームストロング砲、その製造に尽くし、斃れた二人の藩士を紹介。また「歳月」は、佐賀の乱に敗れ、鹿児島の西郷隆盛、日向を経て土佐に至り、有志の説得も及ばず梟首された江藤新平の敗走に焦点をあてました。世俗の立ち居振る舞いは下手、しかし、愚直な一念の半生ですが、共感した官吏や弟子たちも描いており、原題「英雄たちの神話」なのか、と思いました。 (塩崎昇・記)                                  

下請忍者

この小説は戦国時代の下忍の活動を通して管理社会に生きる庶民の苦悩を描いたものです。この苦悩は、信長、家康、信玄、謙信といった戦国時代の表の華のある部分と対極をなすものであり司馬氏の時代分析の奥行の深さを物語る作品だと思います。それにとどまらず、高度経済成長期の日雇い労働者や現代のパート、派遣等の人々の苦しみにも通じるものではないでしょうか?またディスカッションに入ってから、「司馬氏は、歴史考証は緻密・正確だが登場人物に思いっきり大胆な発言・行動をさせるところがある。これは司馬作品の魅力ではあるが、あくまで、司馬氏の意見であることを理解して読むべきだ。」等の各種の意見が活発に交わされました。

お忙しい中、参加して下さり、建設的な議論をしていただいた18名の方、深く感謝します。ありがとうございました。 (広田恭一・記)