サークル・史の会

第702回学習会

素晴らしき哉古代オリンピック

 

日 時:6月16日(日)午後1時30分~4時30分
場 所:亀戸カメリアプラザ6階第3研修室
発 表:広田 恭一

  

いよいよパリ・オリンピックが迫って来ました。今から楽しみですね。日本選手はどんな活躍を見せてくれるのでしょうか?
 今回の学習会はオリンピックの原点と言うべき古代ギリシア・ローマのオリンピックに焦点を当てて語りたいと思います。紀元前776年から紀元後393年まで約1200年間1回も中止にならず約300回も開催された古代オリンピックは一つの驚異であると考えます。そしてローマ帝国の衰退とキリスト教の蔓延とともに終焉を迎えることとなります。当日はビジュアルな資料を中心に分かり易く解説するよう努めます。
(この他、特別編として1964年の東京オリンピックで活躍したマラソンの円谷幸吉選手、体操のベラ・チャスラフスカ選手(チェコスロバキア)、ボクシングのジョー・フレイジャー選手(米)にも触れたいと思います)

[ 報告 ]
当日は蒸し暑いなか、27名の方にご参加頂きありがとうございました。以下のようなことをお話致しました。
〇古代オリンピックについて
・ギリシア・ローマ時代約1200年間で300回近く1回も中止にならず開催されたことは驚異と言えるのではないか。
・特に古代ギリシアの個人の尊厳、真理の探求といった面をスポーツの点から体現した意義は大きいと考える。
・その一方、そもそもスポーツなどができても社会に何の貢献がなされるのかという根本的問題も当時から既に指摘されていた。(しかし、スポーツは人々に勇気と感動をあたえるものであり存在意義はあると私は思います)
・そんな古代オリンピックもゲルマン民族の大移動、フン族の襲来、ササン朝ペルシアによる東からの圧迫によるローマ帝国の衰退・分裂、さらには教条主義的なキリスト教の蔓延(国教化)により393年の大会を最後に終焉を迎えた。
〇1964年東京オリンピックで活躍した3選手について
・マラソン銅メダルの円谷幸吉選手が幾多の要因(いわゆる「大人の事情」「社会の理屈」)によって自殺に追い込まれたのは痛恨の極みであった。せめてもの救いはライバル兼友人の君原健二選手がメキシコ五輪で力走、銀メダルを獲得したことである。
・体操のベラ・チャスラフスカ選手(チェコスロバキア)は1968年ドプチェク第一書記らとともに立ち上がりソ連に対し断固たる姿勢を示した。ソ連軍侵入後も節を曲げなかったのは立派である。しかし、個人的には必ずしも幸福とはいえない人生であった。
・ボクシングのジョー・フレイジャー選手(米)は補欠で東京に来たが、正選手負傷のため繰り上げ出場、見事金メダルを獲得した。プロになっても全盛期のモハメド・アリとの世紀の一戦に勝つなど数々の栄光に輝いた。                                      (広田恭一・記)