2024年
日 時:11月17日(日)午後1時30分~4時30分
場 所:亀戸カメリアプラザ6階第3研修室
発 表:笛木 隆雄
映画やTVドラマでおなじみ。白州で繰り広げられる大岡越前守の「大岡裁き」、「この桜吹雪に見覚えがねえとは言わせねえぜ!」と言いながら片肌脱ぐ遠山の金さん、「火付 盗賊改方である、おとなしく縛につけぃ~」と凶悪犯人を捕らえる盗賊改方・鬼平こと長谷川平蔵。こうして我々は江戸時代のお裁きの一部を垣間見る。大岡、遠山は江戸北町 奉行所・長官、鬼平は江戸町奉行所に属する別動隊の頭である。
江戸の治安維持を担う「江戸町奉行所」は刑事・民事事件の捜査、犯人の逮捕、容疑者の取り調べ、その後の裁判の刑罰の決定、執行を行う。江戸時代は現在のように3権分立ではないので、江戸町奉行所は幕府の一組織だが警察権と司法権という大きな権限を有する組織である。
今回は、江戸町奉行がどのようにして江戸の治安を維持したのかを見てみたい。
[ 報告 ]
江戸時代のお裁きというと、大岡裁きの大岡越前守忠相、遠山の金四郎こと遠山景元、鬼平こと火付盗賊改役・長谷川平蔵、半七捕物帳、銭形平次捕物控等の小説やドラマから、過酷な取り調べとか人情味あふれる奉行のお裁きのイメージがあります。実際には吟味筋(刑事事件)の容疑者逮捕、取り調べ、入牢、拷問、刑罰の決定、刑の執行まで、手続きはかなり整備され、先例にもとづく厳格な処理が行われていました。
江戸町奉行所は北町奉行所と南町奉行所の月毎の当番制をとっていました。それぞれの奉行所には奉行のもと与力25人、同心100人いたが、江戸の町は物騒なのでこの人数では 足りなくなり、同心の配下に若干うさんくさい目明し、岡っ引きを多数雇っていた。まず、「吟味筋の流れ」から説明に入りました。容疑者の逮捕後の取り調べは江戸町奉行所の役人が当たった。証拠がそろっていても「自白」がないと、事件が成立しない。そこで、自白をしない容疑者に「拷問」するが、これもかなり制限があり、やたらと拷問するわけではない。刑罰の決定も先例にならって、専門の役人が刑罰を決める。 現行刑法のような禁固刑がないので、すぐ刑の執行にあたる。次に「出入筋(民事)」では、「調停前置」が前提で、奉行所は双方の話し合いで決着をつけるように仕向けた。
ご参加いただいた32名の方々、お聞きいただき有難うございました。