サークル・史の会

第708回学習会

「富士登山の歴史」 前編


日 時:12月15日(日)午後1時30分~4時30分
場 所:亀戸カメリアプラザ6階第3研修室
発 表:加藤 好貞


毎年夏になると富士登山がニュース等で話題になります。今年は山梨県が実施した吉田口登山道の入山規制が多くのニュースで取り上げられました。また、富士山は2013年に世界文化遺産に登録されましたが、その構成資産には吉田口登山道をはじめとする富士山の登山道が含まれています。このように富士登山には長い歴史があり、古来より現在まで続けられるとともに、多くの人々の関心を集めてきました。
今回は、この富士登山について、①富士登山はなぜどのようにして始まったのか、②富士登山は長い歴史を経てどのように変容してきたのか、③富士山の各登山道の栄枯盛衰はどうだったのか、④富士登山に関係する人物などを中心にして、その歴史を富士登山が始まったとされる平安時代から戦国時代までお話したく考えております。富士講を中心とする江戸時代の富士登山、そして明治時代から現代までの富士登山の歴史については、別の機会にお話する予定です。
今回のお話で、誰でも知っている富士登山の、あまり知られていないその歴史について、少しでも興味を持っていただければ幸いです。


[ 報告 ]
今回は、富士登山の歴史のうち平安時代から戦国時代までについて、富士山の火山活動の沈静化に伴って、当初専ら遙拝の対象であった富士山が登拝の対象になったこと、富士登山が修験道の修行として始まったこと、登山が広まるのに修験者である末代、頼尊といった人々の貢献があったこと、その結果、これらの修験者が広めた村山修験の拠点であった大宮・村山口登山道が栄えたこと、戦国時代の終わりには富士講が始まり、その信者が多く利用した吉田口登山道が次第に繫栄するようになってきたことなどを中心に説明させていただきました。拙い説明にもかかわらず多くの人に聴いていただき、多くの質問をしていただいたことは、説明者として大変感謝しております。ありがとうございました。
また、3月16日には後編をお話させていただく予定になっています。後編では江戸時代以降の富士登山について、富士講を中心としてお話させていただくとともに、女性による初めての富士登山、幕末の外国人による富士登山についてもお話ししようと考えております。最近新しい文献も入手して、既に資料の作成を始めております。御興味を持っていただけるのであれば、当日聴きに来ていただければ幸いです。(32名参加)
加藤 好貞