サークル・史の会

第725回学習会

「日本人はどこから来たか」


日 時:5月17日(日) 午後1時30分~4時30分
場 所:亀戸カメリアプラザ5階第1研修室
発 表:中川 力


最近、遺跡からの出土品などの年代の測定方法やDNA解析の技術が著しく進歩しています。発掘された化石や年縞(湖、海、氷床の堆積物)などをこれらの技術で解析することにより今までの歴史の定説が次々と書き換えられています。
半世紀前の高校の教科書では、最初の人類は約200万年前にアフリカで誕生したアウストラロピテクスとされていましたが、現在では約700万年前にアフリカに現れたサヘラントロプス・チャデンシスが最古の人類とされています。半世紀で500万年も遡ったことになります。
 日本についても縄文時代は従来、約1万年前に始まったとされていましたが、今では約1万6500年前に始まったとされています。また、これまでは約2300年前に稲作が伝わり弥生時代が始まったとされていましたが、最近では約3000年前には九州北部で稲作が始まっていたとする説が有力です。
これらの歴史が書き換えられたのは、最近の科学技術の進歩が大きく影響しており、その技術の原理のキーワードは「同位体」と「DNA」です。「同位体」はあまり聞かないと思いますが高校の物理で習っているはずです。また、「DNA」は犯罪捜査や親子鑑定などで良く聞くかと思います。それらのキーワードが地球の誕生、生命の誕生などを解き明かすこととも深くつながっているのです。
今回はこのような技術の原理をできる限りわかりやすく説明し、日本人がどこから来たのかを地球誕生から遡ってお話ししたいと思います。


[ 報告 ]
日本人はどこから来たか
最近の年代測定法やDNA解析技術について、その原理的な内容をご説明するとともに、それらの技術によって新たに明らかになった事柄についてお話しさせていただきました。
・地球誕生以来の気温変動、また、50年前の定説と比べて人類の誕生時期が約500万年さかのぼったこと、縄文時代の始まりが約6千年、弥生時代の始まりが約700年さかのぼったこと
・人類がどのように進化し、なぜネアンデルタール人は絶滅し、私たちホモ・サピエンスだけが繁栄するに至ったのかということ
・気温変動によって日本列島が大陸と陸続きになったり、現在のように海で隔てられたりする中で、人々の往来や文明の盛衰が生じ、その過程を通じて日本人のDNAが形作られてきたこと
昨年、国立科学博物館の企画展「古代DNA」を見学したことをきっかけに、さまざまな資料を調べ、本日の発表に至りました。調べ始めると知らないことが山ほどあり、本やインターネットを通じて新たな知識を得ることができ、とても楽しい時間でした。
考古学や歴史を楽しむうえでも、技術的な背景やその原理を知ることで理解が深まり、さらに興味が広がるのではないかと思います。
当日は34名の方にご参加いただき、ご清聴いただきまして誠にありがとうございました。
中川 力